
お得がいっぱい!長期優良住宅のメリット・デメリット
「長期優良住宅」という言葉を聞いたことはあるけど、何だか良く分からない、自分には関係ないこと、と考えている人も多いのではないでしょうか?
一見難しく聞こえるかもしれませんが簡単に言うと、その名の通り「何世代にも渡り長期的に暮らせる、優良な住宅」のことです。
今回は認定されるとお得がいっぱいの「長期優良住宅」について、分かりやすく解説していきたいと思います。これからお家を建てる方、住居の増築・改築を検討されている方はぜひ一度本記事を読んで検討してみてください。
長期優良住宅とは?
従来の「つくっては壊す」スクラップ&ビルド型の社会から、「いいものを作って、きちんと手入れをして長く大切に使う」ストック活用型の社会への転換を目的として、長期にわたり住み続けられる優良な住宅(=長期優良住宅)を普及させるために、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が施行されました。

長期優良住宅とは、長期にわたり良好な状態で使用するための措置がその構造及び設備に講じられた優良な住宅のことです。長期優良住宅の建築および維持保全の計画を作成して所管行政庁に申請することで、基準に適合する場合には認定を受けることができます。
引用元:国土交通省
新築についての認定制度は平成21年6月4日より、既存の住宅を増築・改築する場合の認定制度は平成28年4月1日より開始しています。
国からのお墨付きの安全・快適な家に長期的に住めるというのはもちろん、認定されると税金の控除や低金利の住宅ローンに入れるなど、様々な金銭面でのメリットもあります。
長期優良住宅の認定を受けるメリット
〈メリット1〉住宅ローンの金利が下がる!

【フラット35】S〈金利Aプラン〉の適用
長期固定金利の住宅ローン【フラット35】Sの、優遇の高い金利Aプランの適用が可能になります。
借入金利が当初10年間、年0.25%引き下げになるので借り入れ当初の返済負担が軽くなります。
【フラット50】の適用
返済期間が最長50年で全期間固定金利の【フラット50】の適用が可能になります。
住宅売却の際に、購入者へ住宅ローンを引き継ぐことができるプランです。
〈メリット2〉税金が控除される!

2021年12月31日までに入居の場合
住宅ローン減税の限度額引き上げ
住宅ローン減税制度とは、住宅ローンの残高または住宅の所得対価のうち、いずれか少ない方の金額の1%が10年間に渡り所得税から控除される金利負担の軽減を図るための制度です。
一般住宅の控除対象借入限度額が4,000万円に対し、長期優良住宅なら限度額が5,000万円に引き上げとなります。(消費税率10%が適応される場合)
投資型減税
投資型減税とは、住宅ローンを利用せず、自己資金のみで取得する方への制度で、10年間控除が続く住宅ローン減税とは異なり、一度きりです。
控除対象の限度額の上限が650万円、控除率が10%なので最大控除額は65万円となります。
年末のの所得税額から控除されます。
※住宅ローン減税と投資型減税は、いずれかの選択適用(併用は不可)
2022年3月31日までに入居の場合
登録免許税の税率の引き下げ
登録免許税とは、法務局で土地や建物の所有権を登記する際にかかる費用のことで、一般的な戸建て住宅だと保存登記が0.15%、移転登記が0.3%のところを長期優良住宅だと保存登記が0.1%、移転登記が0.2%に引き下げられます。
不動産所得税の控除
不動産所得税とは、土地や建物を購入した際にかかる税金のこと。一般的な戸建て住宅だと1,200万円のところ、長期優良住宅だと1,300万円の控除が受けられます。
よって、不動産所得税の計算式は

となり、長期優良住宅の一般住宅に対する優遇額は最大3万円(100万円×3%)になります。
固定資産税の減税期間の延長
固定資産税とは土地・建物等の固定資産の所有者が毎年支払わなければならない税金のことで、新たに建てられた住宅は1/2の減税措置が受けられます。
一般的な戸建て住宅の適用期間が3年間のところ、長期優良住宅だと5年間に延長されます。
〈メリット3〉最大50%も地震保険料が安くなる!

長期優良住宅は耐震等級2以上と高い耐震性が保証されているので、地震保険料が割引きされるメリットがあります。
保険会社に所定の書類を提出することで、耐震性に応じた保険料の割引を受けることが可能です。
耐震等級2なら30%、耐震等級3なら50%の割引率が適用され、免震建築物でも50%の割引きとなります。
〈メリット4〉最大110万円の補助金がもらえる!?

地域型住宅グリーン化事業という補助金を受け取れる制度が利用できる場合があります。国土交通省の採択を受けた中小工務店がで木造住宅を建築した際のみ、補助対象経費の1割以内の額で、1戸あたり最大110万円の補助金を受けることができるという制度です。
長期優良住宅の認定を受けるデメリット
〈デメリット1〉申請のコストと手間がかかる
長期優良住宅の申請の際、認定申請書と図面等の複数の添付書類が必要となります。
申請に関する書類の作成等は自分で行うこともできますが専門知識が必要なことが多いので、住宅の施工会社が行うのが一般的で、およそ20~30万円、さらに審査や認定に関する手数料は所属する行政により差異がありますが、一般的に5~6万円と言われています。
また、建築工事に着工する前に申請する必要があるので長期優良住宅制度を利用したい方はお早めにご希望の工務店・ハウスメーカーへ相談することをおすすめします。

〈デメリット2〉建築コストが割高になる&建築期間が長くなる場合がある
後述しますが長期優良住宅に認定されるには、様々な基準をクリアしなければいけません。その為に建築コストが割高になったり期間が長くなったりする場合があります。また、所管行政庁の審査に時間がかかる場合もあります。
しかし多くのハウスメーカーでは、標準プランで認定基準を満たしている場合が多いです。長期優良住宅の建築経験が豊富なノウハウのある会社を選ぶことで申請・審査もスムーズにいく場合がありますので、一度確認してみましょう。

〈デメリット3〉定期的な点検が必要
長期優良住宅は、認定基準に「維持保全計画」があり、入居後にも最低10年ごとに点検が必要です。その度に点検費・修繕費等のコストがかかります。しかし定期的な点検は安心・安全に暮らすために重要ですので、必要経費とも言えるかもしれませんね。

長期優良住宅の認定基準
長期優良住宅の認定を受けるための主な基準についてざっくりご説明します。どれも近年の住宅では当たり前に取り入れられていることなのでそこまで難しい基準ではありません。
なお、実際にはハウスメーカー・工務店が基準を満たすように設計・施工するので明確に理解する必要はありません。

1.劣化対策
数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できること。
【具体的には】劣化対策等級3、床下・小屋裏点検口の設置 など
2.耐震性
極めて稀に発生する地震に対し、継続利用のための改修の容易化を図るため、損傷レベルの低減を図ること。
【具体的には】耐震等級2 以上 など
3.維持管理・更新の容易性
構造躯体に比べて耐用年数が短い設備配管について、維持管理(点検・清掃・補修・更新)を容易に行うために必要な措置が講じられていること。
【具体的には】維持管理対策等級3 など
4.省エネルギー性
必要な断熱性能等の省エネルギー性能が確保されていること。
【具体的には】断熱等性能等級4 など
5.居住環境
良好な景観の形成その他地域における居住環境の維持及び向上に配慮されたものであること。
6.住戸面積
良好な居住水準を確保するために必要な規模を有すること。
【具体的には】マンション:55平米以上 一戸建て:75平米以上(1階の床面積が階段を除いて40㎡以上)
7.維持保全計画
建築時から将来を見据えて定期的な点検・補修等に関する計画が策定されていること。
8.バリアフリー性(共同住宅等)
将来のバリアフリー改修に対応できるよう必要なスペースが確保されていること。
【具体的には】高齢者等配慮対策等級3 など
9.可変性(共同住宅・長屋のみ)
居住者のライフスタイルの変化に応じて間取りの変更が可能になっていること。
【具体的には】躯体天井高さ2,650mm以上
まとめ
長期優良住宅について簡単にまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか?
デメリットもありますが、安心・快適な住宅に何世代にも渡り住み続けられることやお得な減税・補助金の制度が利用できるなど、それを補うほどのメリットもあります。
制度を利用したいと思った方は、まずはハウスメーカーや工務店等に相談してみましょう。

この記事を書いたライター
スムシア編集部 | 日本中央住販 大阪
この記事と同じカテゴリの記事
制振ダンパーとは?最新の耐震技術で安心のお家を!
世界屈指の地震大国である日本。近年、全国各地で大地震が発生すると同時に、今後30年以内に南海トラフ地震が発生すると想定されるなど、地震への備えは現実...

自宅でボルダリング!?面白い部屋や便利な設備12選
これからはお家での時間をもっと充実させたいと考えている人は多いと思います。今回は必ず必要ではないけれど、あればワクワクする面白い部屋や便利な設備を...
