
木は火に強い!?木造住宅の耐火性能
一戸建てには木造住宅から鉄骨造、RC造など様々な工法がありますが、日本で圧倒的に人気なのが「木造住宅」ですよね。
しかし火災が起こった際、木造だとすぐ燃えてしまうのでは…と心配になる方も多いのではないでしょうか。
単純に考えると木と鉄を比べると燃えやすいのは木。だから、木造の家は火事に弱いと考えていませんか?
今回はそんな方に向けて、木造住宅の耐火性についてお話したいと思います。
目次
全国の建物火災は約25分に1件発生している!?

平成29年、消防白書によると、日本全国での建物火災は約25分に1件も発生しているそうです。
自分には関係ないと思っていても、明日は我が身….なんてことも十分にあり得ます。
そんな時の為にも、特にお住まいの住宅の耐火性についてはしっかりとした知識を付けておきましょう。
木造住宅とは?2つの工法
そもそも木造住宅とは「柱や梁などの構造材が木の建物」のことを指します。
様々な工法がありますが、中でも「在来軸組工法」「2×4(ツーバイフォー)工法」が主流となっています。
在来軸組工法
土台・梁・筋交いと行った「軸」を組み立てて建物を支える工法で現代の日本の木造住宅では最も一般的な住宅工法。
比較的、間取りの自由度が高く、増改築しやすいのが特徴です。

2×4(ツーバイフォー)工法
「ツーバイフォー」という名前の由来は、2インチ×4インチの規格化された木材で主に構成されることから「枠組壁工法」ともいい、床や壁などの「面」で建物を支える「面構造」です。
木材を組んで「枠組」をつくり、この枠組に「構造用面材」を接合して頑強な六面体構造を形成します。

耐火性が高いのは2×4工法!
火は天井裏や屋内部、床下などの空気の通り道に沿って燃え広がっていきます。
ツーバイフォー工法では、壁内部に石膏ボードを設置することで防火性能を高められます。万が一、火が石膏ボードを通過した場合でも、1・2階の間、居室間、床下などに一定間隔で組まれたファイヤーストップ材が火の通り道をふさぎ、被害を最小限にとどめてくれます。
以下ではそれぞれについてさらに詳しく解説していきます。

発火を遅らせる強い味方「石膏ボード」
ツーバイフォー工法と併せて、全ての壁や天井の下地に施工する「石膏ボード」。
石膏ボードの芯材は無機質の石膏ですので、燃えることはありません。また、石膏には約20%の結晶水が含まれており、火災時にはこの結晶水が熱分解し、水蒸気となって徐々に放出され、天井裏や壁内部の温度の上昇を遅らせる働きをします。
伝熱を防止するバリアの役割を果たし、構造体が発火点に達する時間を遅らせることができるのです。

2重3重の防火機能を持つ 「ファイヤーストップ構造」
火の通り道となる床や壁の内側において、枠組み材などがファイヤーストップ材となって空気の流れを遮断し、上階へ火が燃え広がるのをくい止めます。
同時に床根太、枠組材などが一定間隔で組まれている床や壁の内部構造は、防火区画がいくつも作られているのと同じ状態。
火災時に石膏ボードが突破されても、2重3重の防火機能を持つファイヤーストップ構造により、火災時の被害を最小限にくい止めます。

そもそも木は、燃えにくく火に強い
比較実験でも木は鉄より火に強かった
実は小さな木片ならともかく、住宅建材のようなある程度の太さや厚さがある木材は、火がついてからしばらくは表面だけが燃え内部まで進行するのに時間がかかります。
木はいったん燃えても表面に炭化層を作り、内部まで火が到達するまでに時間がかかります。
炭化層ができると、燃えて炭化した表面が内部への酸素提供を遮断するため、燃え進むのに時間がかかるのです。
そう、木造建築は火災が起こっても強度が低下しにくいという性質をもっているのです。

鉄は火災時レベル(700〜950℃)の熱を受けると、熱伝導率が早く温度が急激に上がってしまいます。
急激に強度が低下し、家の骨格が曲がってしまえば、家は強度を保つことができず、短時間で崩れ落ちてしまう可能性があるのです。
つまり、火に耐えて長く家の形を保っていられるのは木造の家なのです。

もらい火対策!断熱材には不燃性のものを選ぼう!
万一、隣家で火災が発生すると、出火から30分程度で外壁は800℃を超える高温にさらされることになります。
断熱材には可燃性・不燃性の素材があり、例えばガラスを原材料としたものなどは燃えづらく延焼や類焼の被害を最小限に抑えることができます。
また燃えることで煙や有毒ガスを発生させるものもあるので、不燃の断熱材を選ぶことで二次災害も防ぐことができ、大きな安心につながります。

まとめ
木造住宅の耐火性についてお話しましたが、いかがでしたしょうか?
木は意外と燃えづらい、ということがお分かりいただけたかと思います。
更に建築工法を工夫したりすることで耐火性を高めることも可能なので、これからお家を建てる方はもちろん、今お住まいの住宅の耐火性について、今一度見直してみてはいかがでしょうか?

この記事を書いたライター
スムシア編集部 | 日本中央住販 大阪
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